子どもの親権をめぐる問題について

平成31年2月19日
近年、日本国籍者と外国籍者との間での婚姻(以下、国際結婚)をされる方が増える一方で、様々な理由により、その後の結婚生活がうまくいかなくなり、国籍の異なる父または母のいずれかが、一方の親の同意なしに子どもを連れて自分の国に帰国する(=子どもを自分の国に連れ去る)などとして問題になるケースも発生しています。

 

1.親による子の連れ去りが犯罪となる場合

 オーストラリアの国内法では、両親の離婚後も18歳未満の子どもの親権は基本的に父母双方が共同で保有します。裁判所から子どもの親権やいずれの親と暮らすのか、子どもが離婚した父母それぞれと過ごす時間の配分あるいは子どもの父母との連絡等、子の養育に関する裁判所命令(Parenting Order)が出ている場合、あるいは、裁判所において審理中の場合は、日本人親が豪州人親の書面による同意や裁判所の許可なく子供を国外へ連れ去る行為は、例え実の親であっても犯罪を構成し、最大3年までの懲役刑となる可能性があります。

 なお、裁判所命令もなく、また、親権が裁判所において審理中でない場合においては、日本人親が他方の親の了解や同意がなく子を一方的に日本に連れ去る行為は、直ちに犯罪を構成することにはなりませんが、共同親権が基本のオーストラリアにおいては、裁判所によって他方の親や子が豪州に帰国した際などに、他方の親から訴訟を提起され裁判において不利になることが予想されます。

 国際結婚した後に生まれた子どもを日本に連れて帰る際には、こうしたオーストラリアの事情にも注意する必要がありますので、具体的な事案については家族法専門の弁護士に相談されることをお勧めします。

 

2.未成年者の旅券申請

 未成年の子どもにかかわる日本国旅券の発給申請については、親権者である両親のいずれか一方の申請書裏面の「法定代理人署名」欄への署名により手続きを行っています。

 ただし、旅券申請に際し、もう一方の親権者から子どもの旅券申請に同意しない旨の意思表示(不同意の意思表示は、親権者であることを証明する(戸籍など)を添付の上、書面(自署)で行うことが原則となります。)があらかじめ在外公館に対してなされている場合は、旅券の発給は、通常、その申請が両親の合意によるものとなったことが確認されてからとなります。その確認のため、在外公館では、通常、子どもの旅券申請についてあらかじめ不同意の意思表示を行っていた側の親権者に対し、同人が作成(自署)した「旅券申請同意書」の提出をお願いしています。

 また、オーストラリアにおいては、父母の双方が親権を有する場合に、一方の親権者が、18歳未満の子を他方の親権者の同意を得ずに国外に連れ出すことは、上記1のとおり、刑罰の対象となる可能性があります。このため、当総領事館では、在留邦人の皆様がこのような不利益を被ることを予防する観点から、18歳未満の子の旅券申請の際には、他方の親権者の不同意の意思表示がない場合であっても、旅券申請に関する両親権者の同意の有無を口頭にて確認させて頂いておりますので、あらかじめご承知おき下さい。

 

国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約


西オーストラリア州での法律相談について

一般的な法律相談,弁護士の紹介や裁判所の当番弁護士(Duty lawyer)などのサービスを受けることが出来ます。ただし,個別の事案にかかる訴訟手続きや書類作成などは,別途,弁護士に依頼する必要があります。


DV(ドメステックバイオレンス)等の相談について

同居している配偶者やパートナーからの身体的,精神的虐待を受けている場合,以下の機関で電話による相談や緊急避難用施設の紹介を受けることが出来ます。DV等のお悩みをお持ちの方は,当館あるいは以下の機関にご相談下さい。


通訳・翻訳

  • Translation & Interpreter Service ・・・・・ 131-450

 (安価で24時間利用できるオーストラリア移民・市民権省による公的サービス)

  • The National Accreditation Authority for Translators and Interpreters Ltd (NAATI)  ・・・・・ 9472-3588

 (Office Hours  8:30 am to 12:30 pm   Monday to Thursday)


関連ホームページ