海外安全対策情報(2020年7月~9月期)

2020/11/12
1 社会・治安情勢
(1)本年3月以降,新型コロナウイルスの影響により,在宅勤務を余儀なくされる方が増えた中,なりすましメールや遠隔操作による振り込め詐欺事案等が発生した。また,家庭でのストレス増加に起因した児童虐待等の家庭内暴力が懸念されている。統計を見ても,家庭内暴力の発生件数は増加傾向にある。
(2)コロナ禍で多くの企業が休業し,ホームレスが寝る場所を見つけやすい環境になった影響で,パース市街にホームレスが増加した。思わぬトラブルの原因となり得るので,ホームレスとの接触は避けるよう警察当局は呼びかけている。
 
2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)2020年7月~9月期の総犯罪発生件数は49,366件。パース首都圏では西豪州全体の75.12%の犯罪が発生している。コロナウイルス感染拡大による影響か,総犯罪件数は2019年7月~9月期は68,975件。2020年4月~6月期は52,586件であったことから,今期も大幅に件数が減っていることが伺える。
 
(ア)窃盗事件
 依然として総犯罪件数の約3分の1を占める犯罪であることに変わりはない。財布などの貴重品の管理は細心の注意を払い,基本的防犯対策を講じ,また,不審に感じる場面に遭遇した際にはすぐにその場を立ち去ることが必要。一般的に,犯罪を招きやすいので,車内に所持品を置いておくべきではないと警察も注意喚起している。
(イ)薬物犯罪
 報道によれば,2019年に行われた配水検査の結果,西豪州民のメタフェタミン(覚醒剤)使用率は豪州で一番高かった。薬物は,暴行,窃盗など多くの犯罪増加にも繋がっており、引き続き注意が必要。なお,連邦警察によるとコロナ禍による西豪州の州境閉鎖により,違法薬物の積み荷を押収することが以前より増加しているとのこと。
(ウ)詐欺事件
 連邦警察によると,今年は電話による振り込め詐欺が増加した。特に中国人コミュニティをターゲットとし,発信者が警察や政府機関を装い,被害者に金銭を要求するケースが発生している。警察や政府機関は,決して電話で金銭を要求することはないとして,注意喚起を呼びかけている。
 
(2)20年7月~9月の主な犯罪発生件数内訳
(前年同期比(19年7月~9月))
(ア)西豪州全体 (合計49,366件 (▲28.43%))
(1)家庭内暴行        5,266件 (+12.96%)
(2)家庭外暴行        3,321件 (+16.32%)
(3)脅迫           1,558件 (+ 3.94%)
(4)住居侵入窃盗     2,621件 (▲53.90%)
(5)殺人              30件 (+150.00%)
(6)窃盗          11,097件 (▲49.90%)
(7)性犯罪           1,418件 (+21.82%)
(8)麻薬           7,274件 (▲ 3.83%)
(9)詐欺           4,116件 (▲42.61%)
 
(イ)パース首都圏(合計37,086件 (▲31.09%))
(1)家庭内暴行         3,087件 (+10.80%)
(2)家庭外暴行                   2,372件 (+14.64%)
(3)脅迫                               1,045件 (+ 1.95%)
(4)住居侵入窃盗               2,003件 (▲55.26%)
(5)殺人                                       20件 (+185.71%)
(6)窃盗                               9,581件 (▲50.22%)
(7)性犯罪                           1,064件 (+29.76%)
(8)麻薬                               5,259件 (+ 3.24%)
(9)詐欺                               3,705件 (▲44.61%)
 
(3)邦人被害事案
 西豪州警察によると,新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた頃,パースのアジア系の人々に対する差別を伴う問題があったものの,現在はそうした問題は生じておらず,日本人に対する差別の情報には接していないとのこと。
 
3 テロ・爆弾事件発生状況
(ア)特異な事件は報告されていない。
(イ)テロ警戒レベルは引き続きレベル3の「起こる可能性がある(Probable)」である。パースはテロの脅威度は東海岸の都市に比べて低いとみられているが,豪州を含め多くの国でISILの帰還戦闘員の問題が発生しており,注意を要する。
 
4 誘拐・脅迫事件発生状況
 特異な事件は報告されていない。
 
5 日本企業の安全に関わる諸問題
 当地では一般的に対日感情は良好であり,現在までのところ日本企業にとって安全面で脅威になる問題は認められない。(了)